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家の売却で得た利益には税金がかかる!譲渡所得税とは?

2022/3/28

家を売却するに当たっては、どのような税金がかかるかについてきちんと理解する必要があります。売却の際にかかる税金の知識があれば、その知識を活かして節税を大幅に行うことも不可能ではありません。今回は、家の売却に伴ってかかる税金の中でも、売却で得たお金に対してかかる税金の「譲渡所得税」について、概要や税率、控除などについて解説します。

譲渡所得税とは何か?

家を売却する上でかかる税金のうち、最も注目するべきものが「譲渡所得税」です。譲渡所得税は、家を売却した際に発生する利益に対して発生します。より具体的に説明すると、「家を売った時に得た金額」から、「家を買った時に支払った金額(取得費)」や「家を売る際に発生した費用(譲渡費用)」を引いた金額を「譲渡所得」といい、この譲渡所得に対して発生する税金が「譲渡所得税」となります。このため、買ったときの金額よりも安い金額で売ったり、売却の際に費用がかかりすぎたりして、譲渡所得が0円以下となったケースの場合、譲渡所得税はかかりません。

譲渡所得税を構成する3つの税金

譲渡所得税は、「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つの税金で構成されています。所得税は個人の所得に対して発生する税金、住民税は都道府県や市町村に対して納める税金、復興特別所得税は東日本大震災からの復興のために必要な財源を確保する目的で2013年から2037年まで所得税に上乗せされる税金です。これらの税金の税率は、家を所有していた期間が5年以下か、5年以上かで変わります。

家を所有していた期間が、売却した年の1月1日時点で5年以下の場合は「短期譲渡所得」という扱いになり、所得税30%と、復興所得税0.63%、住民税9%を合計した39.63%が譲渡所得税の税率となります。売却した年の1月1日時点で5年を超える場合は「長期譲渡所得」の扱いとなり、この時の税率は所得税15%、復興所得税0.315%、住民税5%を合わせた20.315%です。

所有していた期間に応じて税率が10%近く変わるのは、転売目的で家を売買することを防止するためです。やむを得ない事情で購入した家をすぐに売りに出さなければならない等の事情がない限りは、購入してから5年間は家の売却を控えるべきでしょう。

譲渡所得は「減価償却費」を考慮に入れなければならない

注意しておきたいのは、家を売ることで最終的に得た利益(売却益)に対してそのまま税金がかかるわけではなく、減価償却を考慮しなければならないという点です。家の価値は年を経るごとに建材などの経年劣化などを考慮して低くなっていくため、予想される価値の低下を年数で割って1年毎に経費として計上する会計上の処理を行う必要があります。この会計上の処理が「減価償却」です。実は、譲渡所得は売却益に加えて、この減価償却を済ませた分の金額を加算した金額なのです。

例えば、10年前に3000万円で購入した家を5000万円で売却したとします。売却の際に500万円が費用としてかかった場合、最終的な売却益は1500万円となります。この家が、30年で資産価値がなくなると想定されていて、そこから逆算して毎年100万円が減価償却費として計上されていたとすると、10年分の減価償却費1000万円が考慮されて、譲渡所得は2500万円となります。10年間所有していたため長期譲渡所得となりますから、支払うべき税金はこの2500万円の20.315%、即ち507万8750円と計算されます。

譲渡所得税に関係する特例控除の紹介

上記の例では説明をわかりやすくするために敢えて省略しましたが、実は譲渡所得税は一定の条件を満たすことで、特例控除が受けられます。課税対象となる譲渡所得からこの特例控除額を引いた金額が最終的な税額の計算に利用される「課税譲渡所得」です。この特例控除の知識のあるなしで、どれだけ節税できるかが左右されると言っても過言ではありません。ここでは代表的なものを2つ紹介します。

まず、所有年数に関わらず、マイホームの売却に際しては3000万円までの控除を受けることが可能です。3000万円特別控除と呼ばれるもので、マイホームに住まなくなってから3年以内に売却することや、マイホームの売却以前に土地の活用によって利益を得ていないことなどが控除の条件として定められています。そして、この特例を受けた後に新たに住宅を購入する場合、住宅ローン控除を受けることができません。

家を売った金額が購入時の金額よりも低く、トータルで赤字になった場合は「居住用不動産の譲渡損失の損益通算と繰越控除」という特例控除を受けることが可能です。「損益通算」は、家を売った際の赤字分を他の課税所得から差し引くことです。一方、その年の所得から引くことが出来なかった損失分の金額は、翌年以降に繰り越す「繰越控除」を行うことが可能です。

特例控除は今回紹介した以外にも様々なものが存在します。また、特別控除以外にも、軽減税率や課税の繰延など、節税に活かせる制度も少なくありません。自分の状況に応じて利用できる制度を把握し、節税に役立てるようにしましょう。

税金についての正しい知識は、節税の第一歩

家を売る際に無用な損をしないためには、税金について正しい知識を持つことです。税金の制度や、特例控除などの知識の有無によって、必要以上に多額の税金を支払うことがなくなります。家の売却を検討する時は、税金についてもしっかりと調べておきましょう。