2世帯住宅である場合の小規模宅地等に係る相続税の特例の適用
(2013-10-29)
【税務】
1.相続税:小規模宅地等の特例の概要
一般個人が相続や遺贈により、被相続人やその同一生計親族の居住用や事業用に使用されていた宅地等がある場合には、相続税の課税価格の計算上、その宅地等の評価額のうち一定割合を減額する特例があります。これを「小規模宅地等に係る相続税の特例(以下「小規模宅地等の特例」)と言います。
相続開始直前において、被相続人の居住用の宅地等が次の(1)又は(2)の要件を満たす場合、「特例居住用宅地等」として、相続税の課税価格の計算上、その宅地等の240m2までの評価額の80%相当額が減額されます。
(1)被相続人の配偶者が取得した宅地等
(2)その宅地等を取得した被相続人の親族が、原則として相続開始直前にその宅地等の上に存する被相続人の居住用家屋に同居していた者であって、相続税の申告期限(相続開始後10か月経過日)まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その家屋に居住している事。
2.二世帯住宅の敷地と小規模宅地等の特例の適用
父が所有する宅地上に二世帯住宅を建て、1階に父と母、2階に長男夫婦が居住していたところ、父が死亡し長男がその住宅の敷地を相続した場合、相続税の計算上、二世帯住宅の敷地について小規模宅地特例の適用があるかどうかは、しばしば相続税申告上の論点となります。
平成23年8月に東京国税局が作成した「資産税審理研修資料」は、二世帯住宅の敷地に係る小規模宅地等の特例の適用について解説をしており、実務上の参考です。
「資産税審理研修資料」では、二世帯住宅の内部構造の違いにより、次のような適用関係になると解説しています。
(1)二世帯住宅の外部と内部に階段が設けられ、住宅の内部で互いに往来できる構造の場合
前述1(1)に規定する「被相続人の親族で被相続人の居住用家屋に同居していた者」とは、具体的には相続開始の直前において被相続人の居住用家屋で被相続人と共に起居していた者をいいます。この場合の「被相続人の居住用家屋」とは、その家屋が独立部分を独立して住居その他の用途に供する事ができる構造の物件で、被相続人がその独立部分の一つに居住していた場合には、その独立部分をいいます。
例として、1階(父母が居住)と2階(長男夫婦が居住)が住宅内部で行き来ができ、構造上は各独立部分に区分されていない二世帯住宅の場合、父母と長男夫婦は1階と2階を住居として一体で利用していることから、長男は父の居住用家屋で共に起居していた者であると認められます。そうすると長男は被相続人(父)と同居していた親族となり、長男の取得した二世帯住宅の敷地である宅地は特例居住用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例の適用があります。
(2)二世帯住宅の外部に階段が設けられ、住宅の内部で互いに往来ができない構造の場合
前述2(1)のとおり、「被相続人の親族で被相続人の居住用家屋に同居していた者」とは、相続開始直前に被相続人の居住用家屋で被相続人と共に起居していた者をいい、さらに「被相続人の居住用家屋」とは、その家屋が独立部分を独立して住居その他の用途に供することができる構造の物件で、被相続人がその独立部分の一つに居住していた場合には、その独立部分をいいます。
例として、1階(父母が居住)と2階(長男夫婦が居住)が住宅内部で行き来ができず、構造上は各独立部分に区分されている二世帯住宅の場合、2階に居住する長男は、その住宅のうち被相続人(父)が居住の用に供していた独立部分(1階)では共に起居していません。そうすると長男は、被相続人(父)と同居していた親族には該当せず、長男の取得した二世帯住宅の敷地については、小規模宅地等の特例の適用がありません。
尚、二世帯住宅の敷地に係る小規模宅地等の特例の適用にあたっては、[1]住宅の全部を被相続人又はその親族が所有し、[2]相続開始の直前において被相続人の配偶者又は被相続人が居住していた独立部分に共に起居していた相続人がいない場合には、被相続人が居住の用に供していた独立部分以外の独立部分に居住していた者を、被相続人の居住用家屋に居住していた者に当たるものとして申告することを認める特例が設けられています。
ただし本問の場合、相続開始直前において被相続人(父)は配偶者(母)と同居しており、[2]の要件を満たさないことから、この特例の適用を受けることができません。
以上により、長男は被相続人(父)と同居していた親族に該当せず、長男が取得した宅地については小規模宅地等の特例の適用は認められません。
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1.相続税:小規模宅地等の特例の概要
一般個人が相続や遺贈により、被相続人やその同一生計親族の居住用や事業用に使用されていた宅地等がある場合には、相続税の課税価格の計算上、その宅地等の評価額のうち一定割合を減額する特例があります。これを「小規模宅地等に係る相続税の特例(以下「小規模宅地等の特例」)と言います。
相続開始直前において、被相続人の居住用の宅地等が次の(1)又は(2)の要件を満たす場合、「特例居住用宅地等」として、相続税の課税価格の計算上、その宅地等の240m2までの評価額の80%相当額が減額されます。
(1)被相続人の配偶者が取得した宅地等
(2)その宅地等を取得した被相続人の親族が、原則として相続開始直前にその宅地等の上に存する被相続人の居住用家屋に同居していた者であって、相続税の申告期限(相続開始後10か月経過日)まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その家屋に居住している事。
2.二世帯住宅の敷地と小規模宅地等の特例の適用
父が所有する宅地上に二世帯住宅を建て、1階に父と母、2階に長男夫婦が居住していたところ、父が死亡し長男がその住宅の敷地を相続した場合、相続税の計算上、二世帯住宅の敷地について小規模宅地特例の適用があるかどうかは、しばしば相続税申告上の論点となります。
平成23年8月に東京国税局が作成した「資産税審理研修資料」は、二世帯住宅の敷地に係る小規模宅地等の特例の適用について解説をしており、実務上の参考です。
「資産税審理研修資料」では、二世帯住宅の内部構造の違いにより、次のような適用関係になると解説しています。
(1)二世帯住宅の外部と内部に階段が設けられ、住宅の内部で互いに往来できる構造の場合
前述1(1)に規定する「被相続人の親族で被相続人の居住用家屋に同居していた者」とは、具体的には相続開始の直前において被相続人の居住用家屋で被相続人と共に起居していた者をいいます。この場合の「被相続人の居住用家屋」とは、その家屋が独立部分を独立して住居その他の用途に供する事ができる構造の物件で、被相続人がその独立部分の一つに居住していた場合には、その独立部分をいいます。
例として、1階(父母が居住)と2階(長男夫婦が居住)が住宅内部で行き来ができ、構造上は各独立部分に区分されていない二世帯住宅の場合、父母と長男夫婦は1階と2階を住居として一体で利用していることから、長男は父の居住用家屋で共に起居していた者であると認められます。そうすると長男は被相続人(父)と同居していた親族となり、長男の取得した二世帯住宅の敷地である宅地は特例居住用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例の適用があります。
(2)二世帯住宅の外部に階段が設けられ、住宅の内部で互いに往来ができない構造の場合
前述2(1)のとおり、「被相続人の親族で被相続人の居住用家屋に同居していた者」とは、相続開始直前に被相続人の居住用家屋で被相続人と共に起居していた者をいい、さらに「被相続人の居住用家屋」とは、その家屋が独立部分を独立して住居その他の用途に供することができる構造の物件で、被相続人がその独立部分の一つに居住していた場合には、その独立部分をいいます。
例として、1階(父母が居住)と2階(長男夫婦が居住)が住宅内部で行き来ができず、構造上は各独立部分に区分されている二世帯住宅の場合、2階に居住する長男は、その住宅のうち被相続人(父)が居住の用に供していた独立部分(1階)では共に起居していません。そうすると長男は、被相続人(父)と同居していた親族には該当せず、長男の取得した二世帯住宅の敷地については、小規模宅地等の特例の適用がありません。
尚、二世帯住宅の敷地に係る小規模宅地等の特例の適用にあたっては、[1]住宅の全部を被相続人又はその親族が所有し、[2]相続開始の直前において被相続人の配偶者又は被相続人が居住していた独立部分に共に起居していた相続人がいない場合には、被相続人が居住の用に供していた独立部分以外の独立部分に居住していた者を、被相続人の居住用家屋に居住していた者に当たるものとして申告することを認める特例が設けられています。
ただし本問の場合、相続開始直前において被相続人(父)は配偶者(母)と同居しており、[2]の要件を満たさないことから、この特例の適用を受けることができません。
以上により、長男は被相続人(父)と同居していた親族に該当せず、長男が取得した宅地については小規模宅地等の特例の適用は認められません。
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